ベター・ハーフ 20150410 本多劇場

一ヶ月ほど前になってしまいましたが、舞台『ベター・ハーフ』を観劇してきました。
 
ベター・ハーフとは、自分が必要とする、もう一人のこと、だそうです。(サイトより)
前情報でトランスジェンダーを扱ったストーリーだと聞いていたので、メッセージ性の強い舞台になるのかと思いきや、笑いが耐えないのになぜか少し切ない、良い意味で普通の恋愛物でした。
ネットで知り合った男女が実際に会うことになる。でもお互いに本当の自分を相手にさらす勇気がなくて、代役を立ててしまう。
その代役同士が惹かれあって…なんて少女マンガみたいな展開なのに、登場人物が・誰でもいいから愛し愛されたい愛に飢えた中年男性・性転換手術を受けたいのに頭の中の母親に邪魔される孤独なトランスジェンダー・職場の先輩に振り回されつつ仕事に燃えるイケメン・芸能界での成功を夢見る金欠のデリヘル嬢の4人とクセ者揃い。
しかもそれぞれみんな自分の欲望をなんだかんだで隠さない素直な性格の持ち主で、ドタバタとくっついたり離れたり愛したり憎んだり。劇中では年単位で時が進むので、まだあなたたち4人でそんなことやっているのって場外からちゃちゃ入れたくなる。
誰か一人が諦めたり、自分の気持ちを飲み込んだりしたら表面上はうまくまとまるじゃないかって事なかれ主義の観客である私は思ったんですが、絶対に傷つくってわかっていても相手の気持ちをちゃんと確かめたり、誰かを傷つけることを恐れずに欲望を優先させたり、何かを犠牲にしてまで夢に突き進んだり、がむしゃらに生きる姿はとても魅力的でした。
実は喜劇の要素が混ざっていない舞台はあんまり得意ではないし、純粋なコメディもはまりきらないと観ていてツライ。ベター・ハーフは私にはとてもバランスの良い舞台で、すごく満足しました。
中村中さんは歌はもちろん、演技も素晴らしかったです。こんなに魅力的な方だったなんて。
真野ちゃんは小さくて細くて、この世を可愛らしさを具現化したようなアイドル感に圧倒されました。ものすごく可愛かった…。
片桐さんの提供するテンポの良い笑いはストーリーにおかしさと、絶妙な切なさを混ぜ込んでいました。笑いが起きるたび切なさも増す。
そして風間さん、ひたすらイケメンだよね…劇中でもイケメン扱いだし、モテまくるし、(嵐の番組で)不憫な扱いをされる風ぽんではなかった。(あたりまえだけど)ダンスもちゃんと踊れてたよー!途中で一度だけ「~だけれども」って言っていて、ああ風ぽんだわ…って思ったけどね。
 
今回本多劇場に行って思ったのは、客層が広いっていいなってこと。
サラリーマンも、わりとお年を召したご夫婦も、もちろん若い人もいて。比べちゃアカンやつだけどグローブ座の異様さを実感。
主演俳優のFC枠でほとんどすべての座席が埋まる舞台って特殊だよねえ…。どれだけ良い作品でも多くの人に見てもらえなければ、作品が本当の意味で世に放たれたとは言えないと思うけど…でも好きな人の頑張ってる姿を何度でも見たいファン心理ももちろんわかるし。
むしろFCですらチケット取れないこともあるし。でも内輪で楽しむだけじゃもったいないなあって思う…
このジレンマの解決法、私にはわかりません!はい解散っ!